「ARGONAVIS from BanG Dream!」から生まれたボーイズバンド「GYROAXIA」。
6月10日(水)1st Single『SCATTER』がリリースされ、9月12日(土)には遂に待望のワンマンライブ「GYROAXIA ONLINE LIVE -IGNITION-」が開催される。
今回はボーカル旭 那由多役、小笠原 仁さんにインタビューを決行。GYROAXIAと音楽に懸ける強い思いを語ってもらった。
※このインタビューは5月24日に実施したものに一部追加を行ったものです。
『多彩な音楽性をあの1曲でSCATTERという文字通りバラまいていくような曲だと思いました』
―GYROAXIAの1stシングル『SCATTER』リリースおめでとうございます。
表題曲『SCATTER』はどんな曲でしょうか。
『MANIFESTO』はGYROAXIAないし旭 那由多が「俺はこういう人間だぞ」と攻撃的に周りにアピールする曲だと思うんですけど、『SCATTER』はGYROAXIAの多彩な音楽性をSCATTERという文字通りバラまいていくような曲だと思いました。『MANIFESTO』とはまた別のパターンでGYROAXIAの多面性が伝わる曲だと思います。
―作詞がROOKiEZ is PUNK’D/S.T.U.WのSHiNNOSUKEさん、作・編曲がSPYAIR/S.T.U.WのUZさんという豪華制作陣ですが、曲を受け取ったときのファーストインスピレーションを教えていただけますでしょうか。
仮歌を最初に聞いたときは、「この曲は何面相あるんだ」と思いました。印象的なイントロから始まって、これは『MANIFESTO』よりもよりゴリゴリな感じで行くのかなと思ったらラップパートが始まった途端にいきなりテンションがガクッとダウナーな感じになって、かと思いきやどんどんどんどん沸々と湧き上がるようなBメロがあり、サビでいきなり夜から真昼になるくらいの印象の変化があったりとか。歌詞からもそういう多面性みたいなのが伝わってきて、「この曲はまた難しいぞ、頑張らなきゃな」と思いつつ、いろんな面が感じられたからこそ僕の解釈次第で仕上がりというかこの『SCATTER』という曲の出来上がりの印象はだいぶ変わってくるだろうなとすごく感じました。
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―続きまして『REVOLUTION』はどのような曲でしょうか。
『MANIFESTO』はGYROAXIAの宣戦布告というテーマの曲だったんですけど、対するなら『REVOLUTION』は宣誓のイメージで収録しました。攻撃的な面というよりもっと那由多の心根の芯に近い部分というか。「俺は今までこういう思いをもって音楽をやってきて、こういうことを考えながら生きてきて、これからも俺はこういう風に戦っていくんだ、俺は今日から革命を起こすから同調するヤツは勝手についてこい」、みたいな。彼が先導して旗を振りながら闊歩しているような曲だなと思って、彼の先導者としての一面をすごく自分の中で意識しながらレコーディングに臨みました。
『MANIFESTO』、『SCATTER』、『LIAR』の3曲と明確に違う点としてラップパートがないんですよね。GYROAXIAの現在のオリジナル曲の中で唯一。だからより那由多の歌声や歌唱力を頑張って見せなきゃって、自分のなかで気合を入れ直しました。
―『MANIFESTO』で抱いていた那由多の印象を冒頭の高音で見事に裏切ってくれてびっくりしました。
僕もびっくりしました。曲を通して僕の中でもどんどん旭 那由多っていうイメージは変わっていってますし、彼が作詞作曲をしているという設定がある以上その曲も歌詞も全部彼の一面だと捉えながらこの作品に臨んでいるので、僕も新たな曲をいただくたびに「那由多君こういうことも考えてるんだ」とか「こういう曲も作っちゃうんだ」とか、彼のいろんな面に触れられるのは本当に楽しいです。
―小笠原さん自身はどんな曲が得意とかあるんですか。
ちょっと別の話に脱線しちゃうかもしれないですが……、この「ARGONAVIS from BanG Dream!」のオーディションが課題曲1曲、自由曲1曲という形だったんですが、いただいた設定やセリフの印象から旭 那由多のイメージを作って、このキャラクターが歌を歌ったらどういう歌声、音色になるんだろうと考えてオーディションに臨みました。でも、どうやらそういうことを考えているとこのキャラの設定に追いつけるほどのものが出ないぞ、まずいなってなって、悩んだ結果このキャラクターに自分が追い付くには自分の持てる全てを小難しいことを考えずに出さないと多分だめだなと思って、ほぼ自分100%でやったんですよね。それで今こうして旭 那由多としてやらせていただいているので、歌に関するアプローチの仕方はほぼ自分のままで、声をいじったりとかはあまりせずナチュラルにやっています。『MANIFESTO』も『SCATTER』も『REVOLUTION』も『LIAR』もラップパート以外はほぼ自分の全力かなと思ってます。
―続きまして『LIAR』はどんな曲でしょうか。
これまでの曲とは一転、『LIAR』はダンスチューンになっていて、入りから今までのGYROAXIAとは様子が違うものになってます。シンセメロディーみたいなものも入り込んでいて、今までのGYROAXIAの叩きつけるような音とはまた違って、お客さんもみんなで飛んで跳ねて手を挙げて楽しんでいただけるような曲になっていると思います。
―ラップがものすごく早かったりシャウトがあったりと、難易度がものすごく高い曲だと思ったんですが、レコーディングは苦労されましたか。
とんでもない難易度の曲が来たなぁと思いつつレコーディングに向かわせていただきました。ほんとにASHさんはやってくれたなぁと思いながら(笑) スクリームが入ってるんですけど、僕もスクリームはそこまで明るいところではなかったので、本当に必死に練習をして冷や汗をかきながらレコーディングに挑ませていただきました。ディレクションにASHさんにも入っていただいたので本当に心強かったです。
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『那由多に負けないくらい自分も情熱を持って挑んでいるなって思います』
―ちなみに小笠原さんは1人カラオケが趣味とのことですが、この3曲はどれも難しいと思いますが、カラオケで歌う際のコツとかありますでしょうか。
そうですね…。余裕だぜって思いながらも、気合です。
―気合ですか(笑)
最後は気合です、きついと思ったら終わりなので。常に「余裕だぜ」って思いながら、でも内心気合(笑)
―その気合いというのも小笠原さんが1人カラオケの経験で培ったものですか。
そうですね、もともと音楽を聴くのも歌うのもすごく好きな子供だったので、いつからか新しい曲を聴くたびに「これ自分も歌えるのかな」「こんな高音、自分も出るのかな」とか、そういうのを試す場としてカラオケに行くようになって。なのでその頃から、余裕を出せと言い聞かせつつ、気合っていうのは自分の中に生まれてたのかなって思います。
多彩な音楽を表現させていただけているのも、ちっちゃい頃からいろんな曲に触れながら歌ってきた経験が少なからず生きているのかなと思っています。
―曲を歌えるようになるまで練習したということですが、那由多の歌に対するとことんストイックに自分を追い込む姿は、小笠原さんの経験と重なりますね。
動機だったり歌っている理由だったりに差はあるかもしれないですけど、確かにやってることは彼とあんまり変わらなかったのかもしれないですね。役者業でもお芝居を自分の中で突き詰めていったりフィジカルを鍛えたり、もちろん歌を練習するのもそうですけど、思えば那由多に負けないくらい自分も情熱を持って挑んでいるなって思います。
―そこまで飽きることなく探求できる、小笠原さんにとっての音楽の魅力はなんですか。
そうですね…、声優や役者のお仕事にも通ずるところがあると思うんですけど、曲って1曲1曲がアーティストさんの作る物語でもあるし読み物に近い印象があります。例えばその曲を聴くだけでファンタジーな世界やダーティーな世界に入り込めて、5分やそこらの時間で自分の中のいろんな感情を沸き立たせてくれる1つの芸術作品だと思ってます。しかも音楽って星の数ほどあるじゃないですか。アーティストさんがひとりいらっしゃったら何十曲何百曲という曲が生み出されていって、ひとつとして同じ曲はないし同じ世界観の曲だってないし、というのが自分の中では一番の魅力だと思います。でも、歌うことを好きでずっと続けられている理由っていうのは一生終わらないチャレンジがあるからみたいなところはあるのかなと思います。それは役者も同じような理由ですね。
―先ほどからずっと思ってましたが、小笠原さんってものすごくストイックですね
何かしらの課題がないと日々がしんどいんです。クリアするべき何かがあると日々がしまる。歌ってすごくインスタントに自分の中に課題を作れるので、それが自分の性格に合ってるのかなと、今お話ししながら思いました。
―これからも新たな曲を出すたびに新たな面を出してくれると期待してますが、小笠原さんが歌ってみたい曲はありますか。
バラードは絶対にやりたいねっていうお話はASHさんとしています。ロックな感じのバラードでもしっとりしたバラードでも、那由多がもし”愛”みたいなものをテーマにして歌うとしたら、彼は何に対してのどういう愛情を自分の中から引っ張り出すんだろうとか。彼がまだ見せてない顔が見れる曲は、早く見たいなと思いますし歌いたいなとも思いますね。あとメチャクチャ前のめりなパンクロックとか、ほんとなんでもやりたいです、よろしくお願いします。
―BanG Dream! Argonavis 2nd LIVE「VOICE -星空の下の約束-」の映像がBlu-ray付生産限定盤に収録されてますが、映像としての見どころを教えていただけますでしょうか。
そうですね、僕は自称・大運動音痴なんですけど、そんな僕が繰り出す全力ジャンプが『現状ディストラクション』の最後にあるのでそれは温かい目で見ていただきたいなと思います。個人的にはすごくかっこよくできてると思っていて、頑張ったので皆さんに見ていただきたい。あとやっぱり『現状ディストラクション』と『MANIFESTO』の演出の違いですね。『現状ディストラクション』はすごく爽やかでまっすぐで、ただただ熱い熱量が伝わってくる演出になっていますが、『MANIFESTO』はいきなりダーク感のような雰囲気も漂っていて、2曲だけでも温度感が変わってくる演出になっていてほんとにすごくいい空気感の中やらせていただいたなと思いました。その雰囲気の違いを皆さんにぜひ見ていただきたいです。
―あのライブといえば、歌い終わったら演奏が終わるのを待たずに帰った演出が話題になったと思いますが、あれはどうやって決まったんですか。
あれはですね、プロデューサーの北岡さんの提案です。確かライブの1週間前くらいに
「小笠原さん、最後、那由多帰りましょう」
「えっ!?」
みたいなやりとりがあって、那由多というキャラクターを分かりやすく印象づける演出の一環として入れてみたい、っていうお話をされました。
「なるほど、なんて恐ろしいキャラなんだ」と思いながらも、いざ練習でやってみたら「これは確かにかっこいいかもしれない」とメンバー全員がなるほどと思いました。いざ本番でやったら叩かれるんじゃないかな、とも思ってましたけど、ファンの方たちにもすごく刺さりまくったみたいで、これは素晴らしい演出だったなと、僕も後から映像を見返す中で思いました。「帰っていいですか」とは演者としては言えないので100%思いつかない演出でした。
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『僕らにとっての「-始動-」と呼べるライブにしたいです』
―「VOICE -星空の下の約束-」以降しばらくライブは中止・延期となってしまいましたが、その間に“Sound Only Live”が行われました。当日は視聴者として参加されたんですよね。
そうですね、GYROAXIAのファンとして、自宅からメチャクチャフル装備で臨ませていただきました。すごく楽しかったです。
―ユーザーとしてGYROAXIAのライブを聞くというのも普通はなかなかないことかと思いますが、参加してみて改めて気付いたことなどありましたか。
ライブサウンドで音楽が流れてきたときに、「今那由多の表情ってこうだろうな」とか、「今こういう動きが入ったらかっこいいだろうな」とか、画面を通してライブしている那由多を見て、自分の中で新たなステージングの構想は生まれました。ファンであることを忘れてまた演者の気持ちに戻っちゃったり、そういう行ったり来たりがすごくあって、それが楽しくて旭 那由多から学んだことがたくさんありました。本当にあの体験は得難かったなと思います。2nd LIVEのあの姿は、あのときに僕が出せるGYROAXIAの全てだったと思ってますが、全然甘かった。旭 那由多っていうキャラクターはもっといろんなことやるわ、もっともっとあるなっていう気持ちが、すごく生まれました。
―そして「MixChannel Presents ARGONAVIS Special Live -Starry Line-」が「VOICE -星空の下の約束-」以来のライブ出演だったかと思いますが感想をお聞かせください。
無観客の配信ライブというかたちでもあれだけ沢山の方にあらためてキャラクターとしてステージに立ってる姿を見せられたっていうのはすごく有難かったですし、本当に楽しかったです。その反面ボーカルの僕だけの出演だったので、GYROAXIAの5人でステージに立ってライブをしたいっていう気持ちがより高まったライブだったかなと思います。
Sound Only Liveをお客さんの目線で見ていて思い描いた旭 那由多のステージングを自分の中で彼の解釈として組み直して、新たな動きだったりとか歌い方だったりを活かしていけたらと思って臨んだライブでした。
―『GYROAXIA ONLINE LIVE -IGNITION-』はいよいよGYROAXIA5人そろったライブになりますがどのようなライブにしたいですか
僕らGYROAXIAが5人でステージに立ったのはまだ「VOICE -星空の下の約束-」のゲストで2曲やらせていただいたときだけで、僕らの中でため込んでいるエネルギーや、早くお客さんにお届けしたくてくすぶっている気持ちがすごくあります。僕以上に他の4人のメンバーには煮えたぎっているものがあるだろうし、練習とかで一緒の空間にいてもその情熱みたいなものは伝わってきますし、その熱量を変えないまま9月12日に画面越しに皆様にお届けできるものを作り上げれたらなと思います。僕らGYROAXIAだけでステージに立つことは初めてなので、僕らにとっての「-始動-」と呼べるライブにしたいです。GYROAXIAっていうバンドがまた新たに一歩この物語の中核に向かって踏み出したんだなって、アニメやこれまでの「ARGONAVIS from BanG Dream!」というコンテンツの歩みを感じてきた人に思ってもらえるライブをお芝居と演奏の両面から作りたいと思ってます。
―初めてのワンマンライブに向けて新たな曲はあったりするんでしょうか。
新しい曲は鬼のように増えました。発表されているカバー曲も含めて、メンバー全員が悲鳴を上げるほど新曲は増えたんですけど、ライブのボリュームも「あ、いいんですかそんな!1stライブから!」っていうくらいになっています。
オンラインライブだからこそできる試みを今スタッフの皆さんが試行錯誤して練ってくださっていて、すごく期待とワクワクみたいなものを感じているので皆さんにも楽しみにしていただきたいです。
新曲はダンスミュージックっぽい曲とGYROAXIAの新境地的なエモい曲をみんなで詰めています。
『LIAR』も言うなればダンスミュージックなんですけど、さらに皆さんに踊り狂ってもらうことに特化したような音作りの曲があって、それが賑々しいことこの上ないんですよね。GYROAXIAの曲の中で一番音数が多いと思いますし、演奏するにあたって竿隊のみんなもエフェクターの数を滅茶苦茶増やして練習の度に試行錯誤しながら音作りを詰めてます。ボーカルで乗っかっていく僕にもギターとベースの音色が変わるだけでこう変わってくるのかといろんな発見がある曲で、ぜひともこれは皆さんにタオルでも腕でも振り回しながら、ご近所迷惑にならないように楽しんでいただきたいです。
もう一つのエモい曲はだいぶ旭 那由多というキャラクターの根幹に関わってくる曲かなと思っています。『MANIFESTO』や『REVOLUTION』も旭 那由多の信念や生き方を表現している曲ではあるんですけど、この新曲は彼の原動力みたいな、なんで彼が音楽やってるのかとか、彼が何を燃やして音楽と向き合い続けてるのかとか、彼が音楽の他に感情を向けている先が果たして、みたいなものが色々感じられる詞とメロディーになっているので、改めて旭 那由多というキャラクターとさらに深いところで向き合うことになった1曲でした。レコーディングも今までよりキャラクターのことを考えて思いやってぶつかりあって、すごく繊細にバランスを取りながら臨んだので、GYROAXIAと旭 那由多に対していろいろ感情を抱いてくださっている人ほど多くのものを受け取ってくださる曲になるんじゃないかなと思っています。ぜひともライブ当日の生演奏でどういうかたちになっていくのかを見守っていただけたらと思います。
―ライブ当日は那由多の誕生日です。那由多自身は自分の誕生日にライブをやるようなキャラじゃないと思いますが、小笠原さんとしてはどんなライブにしたいですか?
そうですね(笑)僕たちメンバー5人はどういう演出内容なのかまだ一切知らなくて、でも5人の共通認識で、絶対にこのライブを計画したのは那由多じゃなくて賢汰だよねって思ってます。僕たちはあくまでキャラクターとしてステージに立ち続けるので、僕は多分ずーっとブーたれてるんじゃないかなと。個人的には那由多がバースデーライブに乗り気だったらかわいいなあって妄想する毎日ではあるんですけど、きっと彼はそんなこと関係なくただただ目の前の音楽を一歩でも自分の理想に近づけるために、9月12日が自分の誕生日なんてことも忘れたままステージに立つんだろうなって思ってます。でもせっかくバースデーライブとコンテンツの中で発信させていただくものなので、僕ら演者にとっても那由多を好きなお客さんにとってもそれこそ旭 那由多というキャラクターにとっても何かスペシャルな体験にどうにかしてできたらなと思ってます。
―ありがとうございました。
GYROAXIA 1st Single『SCATTER』
GYROAXIA ONLINE LIVE -IGNITION-
■日時 2020年9月12日(土)19:00
■出演 Vo.旭 那由多:小笠原 仁、Gt.里塚賢汰:橋本真一、Gt.美園礼音:真野拓実、Ba.曙 涼:秋谷啓斗、Dr.界川深幸:宮内告典
■配信媒体 イマチケ、Streaming+(期間限定アーカイブ配信有り)
※映像内容は同一になります。
■チケット価格
視聴チケット ¥3,500
アフタートーク視聴チケット ¥1,000