「ARGONAVIS from BanG Dream!」から生まれたボーイズバンド「Argonavis」。
TVアニメ「アルゴナビス from BanG Dream!」も放送され、遂に彼らの1stアルバム『Starry Line』が8月12日(水)にリリースされた。
今回はボーカル七星 蓮役、伊藤昌弘さんへのインタビューを行い、彼の楽曲やArgonavisに対する思いを伺った。
『それが出来た暁にはすごく面白い唯一無二のものができるかな』
―Argonavis 1st Album『Starry Line』発売おめでとうございます。まずは率直な感想をお聞かせください。
アニメ終了後にこういった形で1st Albumを発売できてすごく嬉しいです。リアルライブで歌っていた曲もアニメの中で使われている曲も入っていて、今までの活動やお客さんの応援が詰まっているので、自分的にもすごく思い入れのある1枚になりました。
あとは普通に活動していたら到底お会いできないような方々に曲を作ってもらったので、それを「ARGONAVIS from BanG Dream!」という作品を通して皆さんにお届けできることができてすごく光栄です。
―2018年始動からここに至るまで約2年経ちますが、ここまでの活動で何が特に印象に残っていますか?
「Argonavis 0-2nd LIVE -始動-」で僕は登場させていただいたんですが、最初にアカペラで『Butter-Fly』を歌わせていただいたときの光景は今でも鮮明に覚えています。ナビ(※ナビゲーター。「ARGONAVIS from BanG Dream!」ファンの名称)の皆さんがどんな反応をするのか分からず出て行ったんですけど、初めましての方が全員っていう状況でもメチャメチャあったかく受け入れてくれて、そのときにこの「ARGONAVIS from BanG Dream!」というプロジェクトだったりバンドっていうものをどこまでも突き進めていきたいっていう気持ちが改めて固まりました。
それからだんだんメンバーが揃っていって、「BanG Dream! Argonavis 1st LIVE」で最初から5人でステージへ出られたのがすごく嬉しかったです。
このプロジェクトは声優がリアルライブをやるっていうコンセプトなんですけど、Argonavisには元から声優をされている方もいれば舞台俳優をやってきた方もいて、自分とひゅーすけ(Gt.五稜結人役、日向大輔)みたいに今まで音楽活動をしていた人もいる。でも、そんなばらばらの経歴を持った人たちがひとつのバンドとしてみなさんの前に立てるというのが魅力だと思っています。それは普通のバンドじゃできないことだと思いますし、それだけ視野が広いということなのでお互いの違いを認め合って磨いていきたいと思っています。それが出来た暁にはすごく面白い唯一無二のものができるかなっていう予感を1st LIVEですごく感じていました。
―それではアルバムの曲を一曲ずつご紹介いただけますでしょうか。
【1.Starry Line】 (作詞:中村 航・田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、作曲:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)・栁舘周平、編曲:栁舘周平)
初めて聴いたときの印象は、とても壮大なイメージでした。アルバムのタイトルになっているこの『Starry Line』がここまでの集大成だなって、音楽からも強く感じました。
アニメで七星 蓮くんが航海に手伝ってもらいながら初めて歌詞を書いたんですが、その歌詞が本当に等身大で。「仲間の存在があるから僕がいる」っていうArgonavisと七星 蓮がそのまま詰まった曲だと思っています。
レコーディングのときもメンバーとキャラクターの気持ちを大事にしつつ、ここまでの活動をここに込めようと思って歌ったので、自分としてもひとつの区切りというか、セーブポイントのような曲ですね。『星がはじまる』の後に録らせてもらったんですけど、また田淵さんが手がけた曲を歌わせていただけるにあたって、Argonavisを掛け合わせたときの魅力ってなんだろうっていうのを改めて考えながら歌わせていただきました。
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【2.Steady Goes!】 (作詞:中村航、作曲:廣澤優也(HANO)・青木宏憲(HANO)、編曲:廣澤優也(HANO)、青木宏憲(HANO))
『Steady Goes!』は元々ベースの前ちゃん(Ba.的場航海役、前田誠二)がボーカルとして歌っていた曲です。そのときはメンバーが3人で、自分が入ってキーが変わって、歌詞も変わって……という点がすっごくバンドっぽくて、今までの積み重ねや2年近い歴史みたいなものをこの曲に感じます。最初の方から知っている方にとってもそうかなと思いますし、最近僕たちのことを知ってくれた方にもその変化も楽しんでいただけたらと思います。(『Starry Line』Blu-ray付生産限定盤封入特典の)ライナーノーツブックレットにも書いたんですけど、「君となら 星屑の尾も つかめるかな」から「つかめるから」になっていたりだとか、こうやって変わっていったんだなという歩みを感じていただきたいです。
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【3.星がはじまる】 (作詞:中村 航・田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、作曲:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、編曲:渡辺拓也)
この曲も『Starry Line』と一緒で田淵さんに書いていただいたんですが、レコーディングのときに「歌をもう一回やりたいです」ってお願いをした曲です。それだけ歌い方に悩んで、悩んだ分良くなったのですごく思い入れがあります。アニメのオープニングになっているので覚えてくださっている皆さんも多いと思うんですけど、オープニング映像のモーションキャプチャーもやらせていただいて、ライブとの動きのリンクをすごく意識しました。
あと練習のときに音楽プロデューサーに「この曲をとにかく死ぬほど練習して」って言われ続けてる曲なんですよ。それだけ大事な曲だし、音も細かいので楽器隊の難易度もすごく高い曲だけど、それを余裕でできるようにならなきゃいけない。でも、そのときにまたワンステップ上がれると思うので、本当に自分たちを成長させてくれる曲ですね。だから歌詞の「諦める運命じゃないよね」っていうことを伝えるのを大切にしています。皆さんにもこの言葉を伝えてるんだけど、自分たちにも言い聞かせてる気持ちでいつもやってますね。
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【4.ゴールライン】 (作詞:中村 航、渡辺拓也、作曲:渡辺拓也、編曲:渡辺拓也)
たぶんライブで一番歌っていて、本当に最初に比べて自分たちの曲になったなとすごく実感する曲です。渡辺拓也さんが曲を書いてくださっているんですが、渡辺拓也さんとArgonavis5人の相性って最強だと思ってるんですよ。めっちゃ「誰目線?」って感じだと思うんですけど(笑) 「これがArgonavisだよな」みたいな感じがいまの自分の中にあるんですが、はじめのレコーディングのときはそんなこと思えていなくて、しっかり歌いたいって思うばかりでした。でも、やればやるほど自分たちのものになってきているな、なんてすごく思っています。あと最初は「高い曲だな」と思って、1st Singleらしく必死さみたいなものが入っていたんですけど、やっていくうちに歌も慣れてきたり、メンバーの音が聞こえてきたり、どんどん合っていきました。やっぱり自分たちにとって1st Singleって特別だなとも思いますし、本当にずっと歌い続けていきたいという思い入れがすごくありますね。
あとは森嶋さん(Key.桔梗凛生役、森嶋秀太)の歌う2番のBメロとかもすごく好きだし、アコースティックのときはひゅーすけも歌ってくれるんですけど、5人が歌えるArgonavisの魅力が出た、自分たちを活かしてくれる曲ですし、ライブでも一体感を生んでくれる本当に素晴らしい曲だなと思っています。
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【5.STARTING OVER】 (作詞:中村 航、ASH DA HERO、作曲:ASH DA HERO、編曲:渡辺拓也)
この曲を作ってくれたASHさんが滅茶苦茶熱い人で、「そんな考え方あったんだ」みたいなことをすごく教えてくださって、勉強させていただいております。初めてこの『STARTING OVER』を歌うときに、今までとは違うテイストの曲なので「Argonavisはこういうのもできるんだぜ」っていうのをすごく魅力的に見せたいなって思ったんですよ。だから歌い方にすごく悩んだ曲ですね。Argonavisの七星 蓮として全力で歌わなければいけないけれど、どこまでやると七星 蓮やArgonavisから外れちゃうのかメチャメチャ悩みました。やっていくうちにどんどん変わりますし、今も一番変わり続けてるんじゃないかなという印象があります。
あとアニメでは那由多君と一緒に歌っていて、「負けられない相手は すぐそこにいる」という歌詞はすなわち蓮・那由多でもあり、那由多・結人でもある。そこのリンクがすごく熱い曲だと思っています。この曲をArgonavisが歌う意味と、旭 那由多が歌う意味とでは全然違っていて、すごくいろんな想像もできるし、もちろんライブでも盛り上がるし、今でも新たな発見がありつづける曲だなと思っています。
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『今度はライブで皆さんに届けられたらなと思っています』
【6.AGAIN】 (作詞:中村 航、作曲:SHiNNOSUKE(ROOKiEZ is PUNK’D/S.T.U.W)、編曲:YOUSAY)
もうこれは、アニメで泣きました!万浬~~と思って。
アニメを見てくださった方はご存じかと思うんですけど、お金を稼ぐ目的からドラムを始めた万浬がだんだんメンバーのことや音楽のことが好きになって…、という経過からの『AGAIN』はぜひアニメ込みで楽しんでいただきたいです。
最近ライブ(MixChannel Presents ARGONAVIS Special Live -Starry Line-)でやらせていただきましたが、自分たちもアニメを見てからだったのでその背景をすごく大切にしたいなと思いましたし、そこを伝えたいし、別物にしては絶対にいけないと思いました。万浬目線のカメラも入れてくださって、アニメのシーンと重ねていただいて自分たちも嬉しいし、光栄です。
そういった意味で、この曲はアニメの放送を終えて印象や思い入れがすごく変わった曲だなと思います。
―万浬くんもですが蓮君の決意も感動しましたよ。
そうですね。それだけ彼らにとってArgonavisっていうバンドやメンバーがどんどん大事になっていった思いが詰まっていますよね。
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【7.流星雨 Acoustic Ver.】 (作詞:中村 航、作曲:渡辺拓也、編曲:渡辺拓也)
この曲はアニメで結人と一緒に歌った曲ですが、アニメの中のように自分たちも路上で演奏させていただいたので、アニメを見てそこも同じだなんて思ってくださった方もきっといるのかなと思っています。
リーダーで明るい結人が実はコンプレックスや悩みを持っていて、みんなに迷惑かけるくらいならやめるというほどの責任を感じていた。でもそれだけ真面目に音楽に向き合って、メンバーのことを大事に思っていてこその判断だったので、真剣になれるものっていいなぁと思いました。それだけ真剣にやってる人を無下にするわけないよねっていう、Argonavisの関係性や絆みたいなものがあっての『流星雨』だったので、きっとそのシーンの印象がアニメを見てくださってた方には強いのかなと思っています。
1st Albumにアコースティック版が入ったのは、アニメのキャラクターあってのプロジェクトという意味ですごくいいなと思いますし、ぜひアルバムのアコースティックバージョンも、「ゴールライン」に収録されているオリジナルバージョンも聴いていただきたいなと思っています。
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【8.Pray】 (作詞:中村 航、作曲:Shinji(シド)、編曲:渡辺拓也)
こちらも、アニメの最終回は衝撃的な出来事だったんですけど、そこでの万浬を応援する行動の仕方がすごく七星 蓮っぽいしArgonavisっぽいなって思いましたね。アニメのアフレコをさせていただく前は七星 蓮君のことをそんなに行動派だと思ってなかったんですよ。でも実際はものすごく行動するし、引っ込み思案で距離感の掴み方をはかっているところはあるけど、きっちり自分の考えがあって正しいと思ったときには動ける直感みたいなものを持っているんだなって。そんなArgonavisのメンバーの思いが通じて万浬の体もよくなった部分もあるのかなって勝手に思っていました。これを元気になった万浬やドラムの祥平ちゃん(Dr.白石万浬役、橋本祥平)と一緒に今度はライブで皆さんに届けられたらなと思っています。
【9.VOICE】 (作詞:中村 航、作曲:渡辺拓也、編曲:渡辺拓也)
この曲は5人全員が歌うことで、Argonavisの強みがすごく出ているのかなと思います。みんなやっぱり楽器をメインでやっているので、そんなみんなの声が聴けるっていうのは嬉しいですし、それが合わさって5人の声や思いが伝わっていくのはまさにArgonavisらしさだと思っています。
『BanG Dream! Argonavis 2nd LIVE「VOICE -星空の下の約束-」』の最後に演奏したんですけど、銀テープが「バーン!」ってなったりとか、盛り上がりがすごく思い出に残っています。
【10.雨上がりの坂道】 (作詞:中村 航、作曲:渡辺拓也、編曲:渡辺拓也)
この曲が流れるたびに「えっ、もうアニメ終わり!?」なんて何回も思いました。1st Single『ゴールライン』もこの曲も渡辺拓也さんが書いてくださって、すごくArgonavisらしい印象ですが、並べてみるとアニメだったり、レコーディングやライブっていう経験で自分たちが変わっていったのを強く実感しました。
アニメのエンディングでずっと聞いてたのですごく耳に入ってるんですけど、ライブでやるにあたって、初めてみんなで合わせてみると、意外と「メチャメチャテンポ速い曲だね」、「すごい忙しいね」なんてことがあったので、エンディングで綺麗な絵と共に流れているイメージと「あっ、ライブでやるとこんな疾走感があるんだ」っていう、いい意味での違いを楽しんでほしいなと思ってライブではやらせていただいた曲ですね。
Argonavisのホームである函館の八幡坂っていうワードも入っていて、アニメでちゃんとArgonavisとして曲が生まれているっていう作り方をされているのがホントにすごいなって思いました。
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―改めてアルバムを聞いてみて感じた、Argonavisの魅力って何でしょうか?
前ちゃんが「全年齢対象バンド」なんて言ってたんですけど、まさしくそうなってほしいと思っていて。でも「浅く広く」じゃなく「広く深く」になりたいと願ってます。
作品としてのストーリーの印象が強い曲もあると思いますが、皆さんの私生活とも共通している点がたくさんあると思うので、歌の力でそっと寄り添ったり後押ししたりできる、そういう存在になれると嬉しいです。
―アニメ放送後のリリースでしたが、アニメを経て成長したり変わったところはありますか。
キャラクターの見方が本当に変わりました。それまでのボイスドラマだったりキャラクターの設定だったりじゃ見えなかったものや「あっ、そうじゃなかったんだ」っていう発見が滅茶苦茶たくさんありました。GYROAXIAにおいても本当にそうで、アニメを経て意外だった部分とかがいろいろ知れたし、あとはそれをみんなで共有できたっていうのがすごく大きいです。キャラクターのことを考えやすくなったというか、思い入れが深くなったというか。(こんなキャラクターなら)ライブでもこうしたいって思ったり、教えてもらったことが多くて、アニメの前とまるで違う感じがしますね。
『Argonavisにしかできないことを大事にしていきたいなっていうのをすごく感じました』
―Blu-ray付生産限定盤には『BanG Dream! Argonavis 2nd LIVE「VOICE -星空の下の約束-」』の映像が収録されています。こちらのライブはいかがでしたか?
このライブでは、初めてGYROAXIAがライブパフォーマンスを行いました。ライバルバンドが出てきてくれたおかげでArgonavisらしさっていうものを見つめ直せました。GYROAXIAのキャストは本当にみんな熱く真剣にGYROAXIAに対して向き合っているので、いいところは真似したいというか追い付きたいし、でもArgonavisにしかできないことを大事にしていきたいなっていうのをすごく感じました。
―GYROAXIAが登場することはパフォーマンスでも意識されていたんですか
登場することは知っていてセットリストにも入っていたんですが、練習が重なることはなかったし、本番も裏にいたので見れなかったんですよ。でもステージングの音を裏で聴いててもすっごい迫力を感じましたし、だからこそギアが入って、より(Argonavisとして)一つになれました。その時にすごく鼓舞してくれたのがドラムの橋本祥平ちゃんで。やっぱり本当に数多くの舞台を彼は踏んでいるじゃないですか。だからそこで「こっからギア上げていこう」とまとめてくれたっていうのがすごく心強かったし、メンバーがいろんな分野から集まったっていうArgonavisの強みが出た瞬間でした。きっとそういう思いって、現地にいるお客さんにもヒシヒシと伝わるものだと思っています。改めてメンバーの良さというか、ありがたさを感じましたね。
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―先日「MixChannel Presents ARGONAVIS Special Live -Starry Line-」が行われました。そちらのライブの感想をお聞かせください。
下北沢GARDENのときから何回もライブをやらせていただいて、規模もどんどん変わっていったんですけど、常にすっごい熱量とかパワーをお客さんがくれるんですよ。それは無観客であっても滅茶苦茶感じてて、あんまり無観客でやってるっていうイメージがなくて、すごく自然に出来た気がしました。
あとは無観客だからこそ、より5人が5人に集中できたっていう一面もあって。それぞれの音を聴きながら「今こうなってるな」、「こうしたいんだな」っていうコミュニケーションが今までで一番取れてました。皆さんの前で5人のチームワークが取れているベストな状態を早くライブで見せたいなって思いますね。
また普段のライブじゃ見せられないようなカメラワークだったので、無観客っていうのを強みにライブを作ってくださって、本当に感謝しています。
―それでは最後にファンのみなさまに一言お願いします。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
いつも応援してくださるナビの皆さんにこの1st Albumをお届けできて本当に嬉しいです。やっぱりどの曲にも思い入れがあるし、自分にとってもすごく特別な1枚です。
このアルバムを超えるくらいのものを、次の2nd Albumとして皆さんに胸を張ってお届けできるように、ここからの活動もさらにさらにパワーアップして、どんどんArgonavisとして成長していくところを自分たちで体現したいと思いますので是非楽しみにしていてください。
―ありがとうございました。
Argonavis 1st Album『Starry Line』