アニメ「アサルトリリィ BOUQUET」のBlu-rayが1月27日より、毎月1巻ずつ全4巻発売される予定となっている。

 

今回はBlu-rayの発売を記念して、本作の音楽を手掛けるキーマン3人のスペシャル対談を全4回に渡ってお届け。

 

第2回では第2巻の特典CDに収録される楽曲、『Heart+Heart』、『いつでもそばで。』、『リリィ♡リリィ♡GOGOリリィ♡』の話題を中心に対談が行われた。

 

進行担当:岡田太郎氏

ブシロードミュージックに所属する「アサルトリリィ BOUQUET」プロデューサー。その他、様々なブシロード関連作品に関わっており、「探偵オペラミルキィホームズ」の2代目統括プロデューサーとして音楽、ライブ、アニメ全般を担当。

 

ゲスト①:斎藤滋氏

様々なアニメ、ゲームの音楽をプロデュースする株式会社ハートカンパニー代表取締役で、「アサルトリリィ BOUQUET」の音楽プロデューサー。過去には株式会社Lantis(現・バンダイナムコアーツ)に所属しており、数々の作品を担当。主な担当作品は、「涼宮ハルヒの憂鬱」、「探偵オペラ ミルキィホームズ」、「ひだまりスケッチ」、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。

 

ゲスト②タノウエマモル氏

株式会社ハートカンパニーに所属する音楽ディレクター。「アサルトリリィ BOUQUET」においては全体を統括する斎藤氏をサポートし、楽曲の発注やレコーディング、制作管理などの実務を担当し、主に現場でのディレクションを行う。元々は作曲家として活動していたが、斎藤氏との出会いを経て現職。

 

・いつでもそばで。

 

岡田太郎氏(以下、岡田):第2巻に収録されているのは、『Heart+Heart』、『いつでもそばで。』、『リリィ♡リリィ♡GOGOリリィ♡』の3曲ですね。ちょっと先に『いつでもそばで。』の話をさせてください。これが決まったのは早かったんですよね。

 

斎藤滋氏(以下、斎藤):早かったですね。

 

岡田:運命的なものを持っているペアみたいな感じでファンの中でも話題になっていますが、ストーリーの背景としても2人はルームメイトだし、ということで即決でこの2人だとなりました。ただ、デモが上がったのは遅かったんですよね。

 

斎藤:多分一番最後ですね。作曲担当の谷ナオキさんにもリテイクを頑張ってもらいました。

 

岡田:谷さんは舞台の方の楽曲をお願いしてるんですが、ちょっと雰囲気を変えてアニメならではの世界観を作って欲しいということでお願いしました。舞台の方で作りあげた世界観や守ってきたものがあったとは思いますが、アニメの方にも谷さんのエッセンスを入れたくて、難しいお願いをさせていただきました。

 

 

 

斎藤:そうですね。私の下で作業している作家陣に接するかのように厳しい目でリテイクを出していって、結果として時間はかかってしまいましたね。

 

岡田:でも谷さんらしさがしっかり出てますよね。舞台の緊張感とは違った表現をしていただきたくて、最終的には2人の関係性をとても爽やかに描いたものでした。

 

斎藤:我々が彼に伝えたキーワードは「24時間テレビ」のエンディングで流れてもいいような爽やかさですね。

 

岡田:この曲を作っている時には、郭神琳、王雨嘉の濃密な関係とかカップリングでファンも盛り上がっていました。なので、いい意味でファンの期待を裏切ろうと思って爽やかな形にしましたね。2人はルームメイトで友情的な強さもありつつ、自信がなさげな雨嘉を神琳が励まし支えていく中で、神琳自身も雨嘉の存在に支えられているというところがありますよね。

 

タノウエマモル氏(以下、タノウエ):百合的な関係がありつつも、ドロッとした感じにはしたくないというのは一貫してあって、それは作詞をしてもらった安藤さんにも伝えていました。お互いを支えあう美しい関係性、ある種の清廉さみたいなものをなるべく爽やかに描いて、お互いに信頼しあっている感じを表現してもらいました。

 

岡田:本作はやはり戦場で戦う少女たちの物語なので、背中を合わせてお互いを守れる存在であるという、「Face to Face」というよりは「Back to Back」というイメージですよね。

 

・リリィ♡リリィ♡GOGOリリィ♡

 

岡田:続いてはユニットソングとしては最後になる『リリィ♡リリィ♡GOGOリリィ♡』ですね。

 

斎藤:強烈な曲ができあがりましたね(笑)

 

岡田:これに関してはシンプルな発注依頼でして、「やっちゃってください!」と(笑)アニメのストーリーにおいて、中心にいるのはやはり一柳梨璃と白井夢結なんですが、近い場所にいるのが楓・J・ヌーベルで、ある意味ストーリーテラーと言えます。2人のどちらかに寄り添って物語を進めていく存在です。

 

斎藤:バランスをとっている存在ですよね。

 

岡田:そして二川二水は解説役として、視聴者にも寄り添ってくれて、知識を持ってみんなを導いていく存在。ミリアム・ヒルデガルド・V・グロピウスは武器制作などにも携わり、もう一人の説明キャラである真島百由との関係性もあるという特殊性と、みんなをポジティブな方に向けてくれます。この3人がいるから、暗くならずにストーリーが進んでいるという大事な立ち位置にいるわけです。じゃぁ、もうこの3人には存分に暴れてもらおうということで、楓の梨璃に対する愛情、二水のリリィオタクな面と、ミリアムの尖ったキャラクター性を前面に出してもらったらこうなったと(笑)

 

タノウエ:(作詞を手がけた)安藤紗々の真骨頂という感じでしたね。

 

斎藤:これはほとんどリテイク出してないと思います。

 

岡田:細かい部分の言い回しや口癖などは、改めて歌った3人に調整してもらいました。曲が来た時点で「あ、もう大丈夫だ」と安心しましたね。ただ、レコーディング、歌唱も大変だっただろうし、今後、どこかで披露する場があるとしたら、一番大変だと思うので、そこは申し訳ないなと(笑)

 

タノウエ:確か最初の収録は高橋花林さん(ミリアム・ヒルデガルド・V・グロピウス役)だったと思うのですが、曲の中にミリアムらしさを存分に入れてくれました。ガヤとかもかなり追加で入れちゃったんですけど、柔軟に対応してもらってとてもありがたかったです。あれがあったから、残りの2人もすごい歌いやすかったんじゃないかなと思います。最後のサビでもガヤを追加させてもらっていて、「音程を気にせずにタイミングだけ合わせていい感じのガヤを入れてください」っていう我ながらとても雑なディレクションだったのですが(笑)、見事に対応していただいて。そこでこの楽曲の根幹が決まったなという感じはしましたね。

 


 

岡田:一方、楓さんは両極でクールでかっこいいところがある一方で、ぶっ飛んだところもあるということでこっちではそのぶっ飛んでいるところを出してもらいました。おそらく一番早口でしたよね。若手に歌詞の間違いなどがないかチェックしてもらったんですが、「聞き取れなくてすいません。自信がないです」っていう返事がきました。(笑)

 

タノウエ:井澤美香子さん(楓・J・ヌーベル役)に関しては、表現の幅がとにかくすごくて。OKテイクにあえて音程を外しているものを採用したりしているところもあります。まるでアニメのアフレコを聞いているかのようなレコーディングでした。

 

岡田:二水は舞台をご覧になった方は印象強いと思いますが、この早口が普通というか本当にセリフの文字数が多いので、存分にキャラクターを発揮していただきました。このご時世なんで難しいですが、本当は皆で声を出して飛んだり跳ねたりしたい曲です。

 

・Heart+Heart

 

岡田:最後は特殊エンディングの『Heart+Heart』ですね。これ、僕は非常に好きな曲なんですよ。曲のストーリー性はもちろんですが、夢結の可愛らしさが表現されているところですね。特に最後サビの「喜んでくれたらいいな」の部分で、夢結の梨璃に対する純粋な気持ちが表現されていて、このワンフレーズだけでもたまらないです。疾走感が溢れていて、世界を守るために死が間近にある世界観の中で明るい曲調だけど、切なさも感じられる。いつまでこの関係性が続けられるのか、緊張感もあるところにグッと来てしまいます。

 

タノウエ:作曲編曲担当の神田ジョンには、発注の際に『アサルトリリィ』のプロジェクトの熱さや周囲の期待感を伝えつつ、神田さんしかいないというありったけの熱量を込めたメールを送ったのですが、それにしっかり応えてくださいました。デモができたあと時にすごい疲れた様子で連絡があって、アレンジとメロの関係性がすごく繊細で、針の穴に糸を通すような作業だったと。「なるべくリテイクはしないで欲しい…」という(笑)、相当の力の入れ具合でしたね。

 


 

岡田:そのおかげもあって、一発で心奪われる曲になりました。イントロを聞いただけで本当に引き込まれて、ボーカルも掛け合いで、これ1人じゃ歌えないじゃないですか。

 

タノウエ:歌い分けは岡田さんも相当こだわって、色々ディスカッションしましたよね。TDでは音量バランスも何度も調整しなおして、こだわりが沢山詰まった1曲です。

 

岡田:どこが好きかといわれると困るぐらい、全部が好きな曲です。

 

斎藤:作曲面からみると、サビ前のギターが神田さんの真骨頂です。ここは彼にしかできない技だなと思います。爪痕を残しに来たな、という感じがしましたよね。

 

岡田:テンポが変わるわけではないのに、物語を感じるんですよね。聞いただけで、映像が浮かんできて、観ている人の想像をそれぞれ語っても近い映像が出てきそうな気がしてるんですよ。

 

斎藤:タイアップ曲の大切な要素として、映像を作りやすい曲にしなきゃいけないというのはあると思います。映像のためになる曲を書く意識を持っている必要がある。特にこの曲はその要素を強く感じる曲です。

 

岡田:この1曲だけで、例えば映画のダイジェスト版を作れるような仕上がりというか。第4話まで『Edel Lilie』をエンディングとして使っていたわけですが、第5話で事前告知なしでこの曲を流しました。皆さんの心に訴えかけるものがあったようで、今後の展開における期待感がさらに高まったかなと。イントロのパワー、この曲のパワーが本作の楽曲により期待を寄せるブーストになった気がしています。

 

【第3回】に続く

 

 

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【Blu-ray情報】


【アサルトリリィを聴く🎧】

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